日記

とみいえひろこ/日記

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

粘土

空間に、質素な作業台。小さな、歪な、寝ているのか起きているのかわからない、妙な姿をした、粘土のかたまりがいくつか置かれている。空間がとどまらないように。灰緑の濡れたような色の粘土たち。おとずれる手たちが思い思いに触れていくため、みんなこん…

2021.04.26

でも、それぞれ目的が違わないと困ったことになるなと思い直す。 わたしが多く関わるAのことについて頼りまくっているBやC、Dに感謝しかない。B、C、D、もっと多く、E、F、G…それぞれの目的で、それぞれがそれぞれ本人のために、Aを受け入れ関わっている。A…

葛原妙子『飛行』

廢車の窓に朱きゆふぐも流れたり喪ひしものを限りなく所有す 朱・あか 暗い森をいつからか胸のなかに棲まわす。暗い森がいつからか胸のなかに棲みついたから。いつからかどこからか樹がここへ来て育ち、暗い森になった。こんなにわたしの胸のうちに育ったの…

2021.04.26

3度目の緊急事態宣言。「不要不急」というのはつまり「経済」が生き延びるためのいとなみから遠い価値観か近い価値観かということなのだろう、「人」が生き延びるのに「要」で「急」なのは「経済」が生き延びるためのいとなみとは距離のある、別の価値観をも…

2021.04.23

どこかのスイッチを切って瞬時に反応すべきしごとと、終わりがなくて長いしごとのほうに近い仕事、抱えるものそれぞれが極端になってきた。きっとこれからもっと家のことが入ってくるだろう、自分ができるのはあと何年、あと何年だからその半分、と思う。で…

2021.04.16

支配している側、加害を与えている側が、まもられるべきものについて情報を提供してなんとかなる位置まですくいあげてもらおうとしたり、まもられるべきもの自体が抱きしめているなんとかなる力を壊さないための相談をするというのは難しい。ほんとうに難し…

2021.04.15 バレネスク

Ballenesque. バレネスク。 この言葉を明日には忘れるのだろう。お金があったらこの言葉を覚えておくための写真集が買える。 白い毛につつまれた小さな生きものたち。細長い尾の先にいくにしたがって毛がなく、ぶよぶよの渇いた膚が見えている。白い毛の下は…

2021.04.14

役所関係の書類の枠内にものを書く、ということと、短い文章を短い時間に読んですぐ反応するのが、ほんとうに向いていないとよく分かる。何かもう少し本気で工夫したいなと思う。メールよりもLINEなどのやりとりのほうがもう多いのではないか。 学校の事務室…

笹川諒『水の聖歌隊』(書肆侃侃房)

椅子に深く、この世に浅く腰かける 何かこぼれる感じがあって 何度でも、このはじめの歌のこぼれる場所に戻りたいと思う。 ・歌集を読み始めたときは、出てくる言葉がいちいち自分が普段用いている意味やトーンと違う使われ方をしているような感覚があって、…

キム・ジェンドリ・グムスク 都築寿美枝 李昤京/訳『草 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー』(ころから)

そのひとの語りは、聴く側の都合やさまざまな事情でかんたんに、あっさりと風に吹き飛ばされてしまう。語られることでもっと悪くなるかもしれない。いつそうなってもおかしくない危うさをはらみながら聴かれる。 語られる記憶はそのひと自身の長い時間のなか…

説明

説明に説明を重ねてむなしいばかり。ええもちろん、もちろん、真実にできるだけ近いところなのではないか、現状のわたしに見えるぎりぎりのところではないか、そのように、そのときのわたしが信じるところを説明するのだけど。 いつか別のあなたに説明したこ…

2021.04.04

確定申告まで辿り着くことが出来、今日はなんにもしていない。ほとんど本を読み散らかしていた。しかもさらにネットでたくさん買ってしまった。ほんとうはできれば手をつけたいことが山ほどあるけれど、もう無理、と思う。何もしない、というのも無理で、何…

枯葉など

枯葉などを軽い容器につめて、かさかさ言わせて島へゆく。花は老いると赤く小さくしぼみ、かたまりに見えていたものがちりぢり、ばらばらになる。老いるときは一気に、それまでぼんやりとみてきた時間を抱え込み取り戻し、身を捨てて見つめようとするように…

2021.04.02

犬は何がたのしいんだろう。こんなところに連れてこられて居させられて、仲間もおらず、けして自分で選ばせてもらえず、自分で選んだものでもないものばかりを周りのタイミングや気分で与えられ、たのしいということも、たのしいということに溺れるというこ…