日記

とみいえひろこ/日記

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2022.05.30

今日は電話がかかってこなかった。いつもの時間を過ぎて、お昼も過ぎて、雨が降って外が暗くなって、雨の大きな音につつまれるばかり。時間の流れがゆっくりになり、このままずっと電話がかかってくるという約束はなかったことになってしまう気もしてきた。…

岡崎裕美子『わたくしが樹木であれば』

ユニットバスに混ぜてはいけない塩素系洗剤を撒き眠りつつ待つ どの歌でもいいけれど、一首。いつもずっと、頭のなかにいくつかの気がかりが絡まっていて、古い気がかりや新しい気がかりを埃が接着し、束ねている。わたしがしゃがんでそれを拾って整理したら…

2022.05.22

戻る気も出て行く気もなく、ずっとひとつのことを思い出そうとしている。無駄に広げてしまった紙の、ときどきざわっと風にかたちを変えられて動く音。ほんとうにすこしずつ皺ができていくことで、やわらかくくたびれてゆく紙。 黒いヴェルベットの帽子、ライ…

失敗と手

さらさらと送り届けてその後は手だけが映る鏡みている 伸びすぎた髪重そうに垂れていて手の位置にある鏡が映す どこからが失敗だったんだろうか木末に声が膨らんでゆく 404 not found 2000年代の西洋圏の誰かの日記 ろうそくでも手でもなかった 祈りでも 縁…

2022.05.20

サバイバーという言葉は、生きている人を肯定する。でも、それは死にたい人、死んでしまった人を否定する言葉だ この本を読んで覚えておきたいと思った言葉の多くが、いつか著者が読んだり聞いたりした、誰かのいつかの言葉だった。生き残ったものと生き残っ…

2022.05.17

鏡にぜんぶ吸わせるつもりで関わったほうがいいのかな、できるだけぜんぶの謎を預けてしまったほうがいい、そのための鏡だから。ただ、それはやっぱり鏡ではないと思うし、鏡じゃないのにそこまで吸わされたら困る。と言っているように思う。鏡と思ったほう…

2022.05.08

このくらいの季節の夕方が、ほんとうに気持ちいい、と覚えておこうと思う。ワクチン接種の3回目。目的が決まっていて、そのためにおとなしくして待つ短い時間、というのをわたしは好きだなあ、落ち着くなあと思った。空間やスタッフの雰囲気にゆとりがあるか…

2022.05.08

時間をもらったらそれはそれでまったくぜんぜんかたちにならず、いつも頭のなかがそのまま出てしまうというところにかえる。作業の沼ではまってしまって、沼というけれど、わたしの感じる沼は同じところでぐるぐるするだけで先へぜんぜん進めない沼で、たく…

2022.05.06

電話で話していたとき、話の流れで、私がそのように言ったことでその子が傷ついてしまったかもしれない、ということを言った。そんなふうな思い方を私はしないはずなのに、と思う。そのときは私がそう言うのが自然だと思い、またたぶんほんとにそう思ったか…