日記

とみいえひろこ/日記

2022.10.30

今日見たのは

エドワード・ホッパーの絵のなかに出てきそうな二人。バス停のそば。正面を向き、腰に手をあてた妊婦。すこしくすんだ黄色いセーターみたいなワンピースを着たおかっぱの人。その隣に車椅子に乗っためがねの人。グレーっぽい、すこし寒そうな格好の人。他人同士にしては近い距離感で並んでいるけれど、知り合い同士にしてはあまりにも二人とも正面を向いている。車道の向こう、妊婦の人のほうの髪がなびき、なびくままにしているのを、わたしは自転車に乗って見ながら通り過ぎた。

また見過ごしてしまったことがあった。安心したかったから、心の動きとして自然なことだと思う。それで気づいたのがさっき。波が過ぎたら、もうひとつ進むため、もう少し元のところから話し、聞こうと思う。話し、聞こうと思ったのは、自分に話し、聞くためにとれる方法を増やしていっているからだ。自分のなかで。波が過ぎる前に、また何かが来るんだと思う、思っておく。