油揚げみたいに光る犬でしたゆうべ抱きしめ合って寝たのは
耳を立て大人しくしていたいのです幸せも不幸せも嘘もなく
しみじみとふくらんでくる静けさに切り離してゆきたいこと思う
砂かぜにくるぶしのあたり涼しかり怒りや恥ずかしさに溢れいし
鉄くさい風吹き通るこの辺り遊具はひねもす黙りこくって
ブランコは取り払われてもうここにないけれどいちばん上手に揺れる
できるだけ長くいられるやり方を考えはじめていると気づきぬ
またそれは別の話、と終わらせる声あるように ありますように
「かばん」2021年11月号より