日記

とみいえひろこ/日記

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

牛隆佑『鳥の跡、洞の音』

五千年前から疲れているような夕暮れで それから そうだな 煙が上がる 土用東風すごくすずしいのに話したいだれかがどうしてもいないんだ 手になってしまえば殴るしかなくて手になる前のもので触れたい 「触れたい」と書くことすらも、作者にとっては「意味…

2023.12.31

引き換えにするものや、持っておかなくてはいけないもの、何にとって、ということ、切〈れ〉ずにずるずる続くということ、行き来するということ、黙ることと渡すこと、名前によらないもの、まもるもの、まもらないでいいもの、など。必要なら何度も負けて、…

2023.12.30

力尽きてたくさん寝て、それでも、こんな感じになった。 『真白の恋』坂本欣弘/監督。冷え冷えの足を揉みながら。最後にもういちど、もういちど日常が描かれていたところや、どの立場の心情も行動も無理なく描かれていたところがしみじみいいなと思った。ひ…

2023.12.29

きのうの夜、ぎりぎり確かに思ったはずなのに、その表層だけを手応えなくかろうじて覚えているだけ。だからまたすぐ忘れるだろう。こんなに簡単なことなのに。と朝に思う。 どの立場にもわざわざ語らない目的があって、そこは譲れないし見えない、言葉になら…

2023.12.28

三井さよ『ケアと支援と「社会」の発見 個のむこうにあるもの』、中村祐子『わたしが誰かわからない ヤングケアラーを探す旅』、オルガ・トカルチュク 小椋彩『昼の家、夜の家』、小泉義之『弔い・生殖・病いの哲学』など。 こういう時期独特の動き方、這う…

2023.12.27

大人のほうが自由に選べる、決められる。わざわざ与えられず、いけるところまで名無しでやっていける。 どこまでもいけるけれども、どこまでいけばいいんだろうというところから出られないとき、これらのトラブルがどこから来るのか、拾い集めて自分で扱える…

2023.12.25

『ベネデッタ』、観て、すごいすごいと思ってぼーっとして、さらに追い打ちをかけてぼーっとする時間があった。『カップリングの思想』、後半は苦手だった。この感じでいつも、むんむん来られて息をふさがれるように感じてしまう。でも、ベネデッタもカップ…

野田かおり『風を待つ日の』

誰を忘れてしまふのだらう足元へさざ波寄せてまた去りゆけば 誰を忘れてしまうか、分からない。分からないけれど、ぜったいにこの先、私が誰かを忘れてしまうことだけは知っている。私が必ずあなたを忘れてしまうことには、変わりない。今まで私が多くのもの…

王紅花『星か雲か』

その時の気分にすぎず 流れ来しかなぶんを溝川より掬ひて放つ バルコニーの手摺に鳩がうづくまりをり 夕闇がせまりをり 追はれては覚め、追はれては覚め、を繰り返す 寝るまへにコーヒーを飲みしに なにごとも、自分が泳いでいるその箱、自分が因っているそ…

2023.12.24

冬、静かな冬はとくに、悲惨なもの、直截的なものを読みたい、見たい、と思うみたいだ。 簡単で単純で、分かる、分かっている、と思ってしまうことであるほど、短ければ短いほど、それと向き合おうとすることが、より、途方もないことであるはずだと思う。受…

2023.12.23

ファン・ジョンウン 斎藤真理子/訳『野蛮なアリスさん』、井坂洋子『七月のひと房』、丸山健二『我、涙してうずくまり』、村瀬学『カップリングの思想 「あなた」の存在論へ』、目取真俊『面影と連れて』、小泉義之『弔い・生殖・病いの哲学』、小池昌代『…

違う

むしょうに、とひらがなで書く思い方呼び出す むしょうに出て行きたいと 小説の好きなところはどの顔も書かれていながら見えないところ わたくしの空虚を押し広げるために浴室に読むものは濡れたり そのひとの晩秋おもう残されてざらついた布のようなさびし…

2023.12.20

アキ・カウリスマキの映画、1月で配信終了になるものを続けて観ている。音楽が腹の底と響き合い、悲しくし、こめかみを痛め。働くほど、奉仕するほど、生きるほど、その先にある虚しさに足を踏み入れるだけ。踏み入れる、そう方向づけられている自らに気づい…

2023.12.16

『市子』戸田彬弘/監督。市子は欲を持ってしまった。欲を持ってしまって、生き延びる。 現実とわたしとを見て、できるだけあらゆる手を使って自由に見て、どのようにやっていくか、付き合っていくか、向き合っていくか。それに尽きるのか。とか、どれだけ追…

2023.12.12

こまかい雨。 時間が経ってしまうこと、経ってしまったこと、忘れるだろうこと、戻ってこないことの切なさ、のようなもの。離れている、会うこともない、その場所でそのひとの現実があって、ある。切ない、と思えることと、切ないと言えること、それをした瞬…

雨宮雅子『雲の午後』

ここにあるものだけ、ここに確かにあるものだけ、よく見て釘を打つようにして。見えるもの、在るものだけを書くことで、書かないことをする。黙ることをする。歌のなかで、歌の時間を過ごすなかで、自分を歌の時間に放り込もうとし費やすなかで、そう決めて…

2023.12.10

何年かぶりに、金曜、通勤者の帰宅時間に入る頃に駅にいた、電車に乗った。わたしはぜったいに無理なんだなと、目で見て、あらためてちゃんと理解したことがあった。わたしには無理、ほんとうに無理、しかも、わたしはそこに意味を見つけることができない、…

2023.12.08

『本当に遠い所』パク・クニョン/監督 すべては分からなくても理解できることもある 羊飼いの農場主の父親が、ジヌに言った言葉。相手にとって説明が必要な局面にあって、自分のことを説明した言葉。だと思う。 遠いことで救われることがある。王将の店員さ…

2023.12.07

『兵役拒否の問い 韓国における反戦平和運動の経験と思索』イ・ヨンソク 森田和樹/訳。区役所の待ち時間に。あっけない感じというか、分かる、このことよく知っている。少し高学歴で少しお金に余裕がある状況にいるからこそ抱えるもの、抱えられるもの、見…

2023.12.05

最後は言葉で言わなくては難しいことが多く、ほんとうはもう何も言いたくない。ぜんぶ嘘だった、もう嘘はつきたくない。もう何も言うことはほんとうにない。空っぽがどんどん空っぽになるばかりで、できればずっと黙っていたい。 と、思うときが折に触れてあ…

2023.12.05

つまり、当事者である「あなた」を研究することは、「あなた」が生きている場所から、困難や問題を抱えている「あなた」の内側からの体験について「語る-語られる」という関係ととらえてもよいでしょう。 そして、「語る-語られる」という関係の中で、一緒…

2023.12.02

生理前のどこか数日で、睡眠時間が短くて大丈夫なタイミングがある。そのあと激しく眠いのが来る。 今日の14時頃から、眠くて眠くて何時間か眠って起き、眠って起き、ということをした。ほんとに睡魔というものがいて、身体にのっかかられて抑え込まれるみた…

2023.12.01

『水いらずの星』越川道夫/脚本・監督。映画の日、観に行った。すっごくよかった。 それでいい、わたしも。 曲げたスプーンの数繰り返したのかもしれないし、化かし合いだったのかもしれない。でも、思ったことはすべて確かにあったことで、わたしは癖でひ…