日記

とみいえひろこ/日記

2021-01-01から1年間の記事一覧

2021.12.28

仕事が止まることの不安もあって、年末年始もやらなければいけないことをけっこうつめこんでしまっている。やりとりが少なくなっていく時期で、クリスマスが過ぎ一年を終えていくことに向かう静けさがあって、リラックスしてやっている。もっと、変化をつけ…

今日

話しながらときどき遠くなりながら桃色の海を思い浮かべる なにかもう使い果たした気になった あなたの優しさも寂しさも 既視感の多い日がある床にもの拾うとき影が足にひろがり いちにちをかけて小さな生きものは食べる 冬の色のフードを 忘れられ失いつづ…

2021.12.27

「愛しのアイリーン」(監督・吉田恵輔/原作・新井英樹) 小さな異物であろうと、なんでもない異物であろうと、とにかく異物をどうすることもできず自分のなかに抱え込んで共存していくしかない状況や自分自身に誰もがぶち当たり、その誰もが無様な姿になっ…

2021.12.27

ジンくんの歌声は胸の上のほうが痛くなる。一緒に歌ってみたら歌声がきれいすぎてびっくりした。宝石のような、きらきらした、大量の線状の光のような…。なんてきれいな言葉なんでしょう、歌うというのは、一音一音を、ひと息ひと息を、こんなにいたわり理解…

2021.12.21

間違いがかならずあるのだということ。間違いがないと思っているところに、思ってすらいないところに、かならず、ほんとうにいくつもあるのだということを、分かってよ。そう言いたかった。言いたい相手のことをわたしが何も分かっていないのに、今わたしが…

2021.12.18

「紙の月」(監督・吉田大八)。あれは、反対側まで逃げ、誰かに会いに行ったのだ。自分に、もう自分でなくなったものに。もういないものに。そうすべきだと思うからそうしたい、と思ったことを、行けるところまで手を染めて、今のわたしが、したよ。 会いに…

2021.12.18

たくさんの罪悪感を煮つめた。黒い大鍋を久しぶりに使って。というか、キッチンでものを切って火をつけるという作業自体が何年かぶりになる。 写す素材として選んできたものたちなので、量もあるし、すこし高めのものもあった。いじめて、写したあと捨てたも…

2021.12.12

12月上旬までには出します、と言って延ばしてもらっていた件をやっと送ることができた。日中は10分以上それだけに集中してとりかかれる仕事ができないと思う。休憩もしている。夜中と休日で外に対してはなんとかつじつまを合わせていて、家のこと、人のこと…

どうして

部屋には薄い、小さな、今にも割れそうなうすいうすいみどりの皿が冷えたままながく置かれており、埃でべたべたになっている。ぶあつい埃にまもられた皿はながい時間をかけて内面になり、あさい息をつづけていた。思い方を刻み、ノスタルジアを刻み、その皿…

読まれるもののために

油揚げみたいに光る犬でしたゆうべ抱きしめ合って寝たのは 耳を立て大人しくしていたいのです幸せも不幸せも嘘もなく しみじみとふくらんでくる静けさに切り離してゆきたいこと思う 砂かぜにくるぶしのあたり涼しかり怒りや恥ずかしさに溢れいし 鉄くさい風…

小黒世茂『九夏』

なにかが来る前のやうにも遠のいた後のやうにも目をつむる馬 やさしいふりあかるいふりして沖は凪ぎ在所の岬はわたしを忘れた カーテンは水藻のゆらぎ まつくらな自室に鮫が泳いでゐたり 風みたいに何度も生まれるのはよさうけふは銀杏のみだれゐる街 さほど…

2021.11.19

細かなことをこなそうとしているうちに自分のことが混じっていって道が逸れていって、いろいろ先送りしてしまった。こういうときに、時間が飛んでしまう。ああ、やってしまったと思う、放っておいてしまったと、顔を見に行って、戻る。 何かしながら「母なる…

手続き

手続きはとても簡単だった。本人の名前と、それを代理で書いたことを証明するわたしの名前だけ。性別も住む場所も、わたしが何にとっての何者であるかも書かなくていい。何処に説明するための、誰にとっての何者か、ということも。 簡単すぎて崩れ落ちそうに…

2021.11.13

ものを拾えるとき、拾えないときがある。拾えないときがほとんどで、拾えなくても拾えないなりにやっていくにはコツがあるのだと思う。たとえば、拾えるときに、この先に来る〈拾えないとき〉でも拾えそうなものを残し周辺を拾うことなど。希望を編み出して…

2021.11.08

焚き火の音に聞こえるけれどこれは犬がベランダで何かを噛んで遊んでいる音だ、と思っていたら、雨の音だった。 ひとつ進むとその位置からもうひとつ問題が見える。見えたときしまったと思うことも多い。これでよかったのかわからない、と思う。これでいいの…

2021.11.06

どこかまだたくさんの間違いがあるのです。 イ・サンウクの言葉。これは、わたしは真実だと思う。そして、同じ運命を負ったものでなければ結局は分かり合えない。裏切りに終わる。というサンウクの思想は、たとえば経験値などによってもうちょっと深まる可能…

2021.10.28

間に入ってもらい、都合をつけてもらい、この3人でその3人に会いに行く。思ったよりもたっぷり時間をとってくれようとしている。ゆっくり窓をひらき、安全な岸に立たせてくれ、見せてくれた。わたしがむかしの話を、何度もした話をもういちどする。話すたび…

2021.10.22

すこし休んで、いつまで休むのだろうと思いながら、映画を見ている。伝えなければと気になり続けていたことを、もう遅いけれどいくつかの階段を下りてかんたんに伝えた。帰りに床をすこしだけ拭き、気になりつづけていたごみを拾う。まだ残っている。 ローリ…

ガムを噛むみたいに

百日紅の色ふかくして雨つづく階下に人の死にたさのある 夏冷えの耳揉みながら撫でている戦いのさなか濡れた枯葉を 水のにおい水のにおいにひたされて窓辺輪郭くらくなるころ うどん屋の明るいひかり吸うような時間がしんと流れ夕方 白くなる信号の下待って…

2021.10.17

わたしだってしんどいんだと、自分の取り分のことばかり考えていたのがもう違う感じがする、もうそれはよくなったからやっとこちらに取り掛かれる状態になったように思いますと口にすれば、だんだんそれがなじんできているようにも思う。 それとも、今ぽかっ…

土曜日に

先延ばしするほど赤い花灯り公園のある通りに暮らす 翳りつつスミレの色のカーテンが静まっている(声を待つとき) まんなかに光があった できるだけ影に汚れてまもられていたい 熱っぽい水と流れて天窓へ光を返すヴィデオ日記は ほの青く粘土は置かれ今だけ…

2021.10.07

誰もわからないと思う、目を閉じているような心地になる。ほんとうはそのようにとらなくてもよい責任を、そのようなかたちでとらなくてもいいような、もとの少ないところに戻れる時間であるような。 この目的のために、この並び方で、この距離で、このくらい…

2021.10.06

ひとつ、非常に良くないところで断ってしまった。こういう状況は今までやってきたなかで2回目だと思う。どうにかすればもしかしたらどうにかなったかもしれないけれど、ほかがガタガタになってしまって、ひどいことになっていただろう。いちばんはじめ、はじ…

2021.10.02

妙に既視感の多い日だった。ものを拾うとき、腰をかがめるとき、床の様子をみたときにきこえる音の感じ、背中の感じ。機会があって、溜めていてずっと気がかりだったことをすこし消化できた。 モノと、物を置く環境を変えたらやりやすくなる、無駄な苦労をし…

2021.09.27

ある程度(かなり)外枠から決めてかかって関わらないとわけがわからなさすぎてやっていけない、こどものときは。そのつもりでここまで来たものの、外枠はあくまで仮組みの枠だということを忘れがちで、とうにもう組み替えてかまわなかったし、そろそろ外し…

2021.09.22

わたしがいろいろなところにおしっこをするので、家族からここではしてはいけないと教えこまれている夢。優しい口調で、そして本心から優しく、わたしのためを思って教えてくれている。 ここにしているのはここにしなくてはいけない理由があってしているし、…

2021.09.18

いろいろな時計がある。わたしはもう少したくさん自分のなかに時計を増やしたい。今はふたつくらいしか持っていないと思う。それが足りなさなんだと思う。 少し波がとぎれて、自分のところへまた戻ってきた。勢いではなく時間を少しずつとってやっていかなく…

2021.09.14

白く明るい、すきまのある空間にあつまり、エスカレーター、廊下、個室へと順番通りに進む。待つ時間。待つ時間。待つ時間。待つためにつくってきたようなつもりになっていた時間。腕を出し、しずかにうつむき、もう再び会うこともたぶんない人がなんでもな…

こわいもの

こわいものが変わった。こわいものの総量は変わらない。こわいものそれぞれのこわさがあり、どれもわたしを放っておいてくれない。こわいものが多過ぎて何も終わらない。付き合いつづけるから少し休んでいいか、休みたい、と言って座り込んだら、こわいもの…

2021.09.05

ひら と着せかける浴衣のうしろより蟬鳴き出づる 囘復はあれ 佐竹彌生『天の螢』 回復は、名前や言葉や場所、時間を逃れることのできる力のようなものと思う。力を逃れることのできる何か、意味を逃れることのできる何か。 着せかけるときに着せかける誰かを…