日記

とみいえひろこ/日記

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2020.11.30

・寒い寒い、終わらない、肩こりから顔面が痛い。と、干した布団を夜遅くなって取り込むために見上げたら、矩形の空に満月がかかっていてとてもきれいで、褒美のようだと思う。 犬がいてわたしが子に怒っても子に足を舐めたりしてあげて、ずっと夢みたいだ。…

憎んでいたのに

憎んでいたのに、けっきょく最後までその会に残ったのは彼女だけだった。赤いセーターにひっつめた髪、皺のないきれいな額。死んだその女と同じぐらいの年齢だから、もういい年のはずだ。額のほかにはくっきり皺が刻まれている。 こんな時期だから、密やかに…

掃くひと

いつ見ても腰を屈めて、ひっつめで、大ぶりのホウキでしゃっしゃっと音をさせて路を掃いている、そのひと。俯いている、浅黒い顔をちゃんと見たことはなく、わたしはそのそばを通り過ぎるだけ。挨拶もしない。 ときどき目を細めて遠くを睨んでいるように見え…

2020.11.25

冬、またしばらく谷の兆しなんだと思う。たたかいながら共存し合う、糸を引き合う。淡々とカレンダーを付け、「もう余計なことを言わない」と思う。「わたしもこんなに我慢した」ので、決めていたことについてはお金を出そうと思う。 ぜんぜん進まず、外に出…

井戸と梔子

没頭して自分の目の前のことしかみえなくなってしまうことがあるから、わたしに迷惑をかけて泣き喚き、わたしに気付かせつづけてほしい。あなたとは契約を結んだ、そのときに生まれたわたしの役割を放棄してしまいそうでいつも怖い。怖い、全身で怖い。全身…

2020.11.21

・声にのせられる言葉は今このときの言葉。聞き留められなければ、二度ともどってこない。 書かれる言葉にはすべての時間が流れていて、でも〈今〉だけがない。書かれ、刷られてバラバラにされた言葉の、その影にも満たない何か欠片のようなものを読むとき、…

2020.11.19

引っ越しハイも落ち着いてきてしまった。犬の鳴くのがわたしはこたえるけどふたりはそうでもないんだなと思う。わたしは赤ちゃんとの暮らしをやり直せる機会が巡ってきたみたいな幻想を抱いたりしてしまう。やり直せるというのはなにか失敗を取り戻せるので…

2020.11.18

犬の心臓が速くてドキドキする。抱っこすると尾がどういう位置にあればいいのか扱いに迷う。自分には尾がないから。近くで見るとくちびるのキワまで全部小さい歯のように見えると知る。黒い爪には神経が通っているのだという。 動物を飼うことはミステリアス…

2020.11.16

noteから はてなブログに引っ越してきてみることにしました。 note.com