Hayim(命)という言葉は複数形で、ヘブライ語のこの単語には単数形は存在しない。つまりヘブライ語ではわたしたち一人一人には複数の命、つまり複数の生がある。それは連続した生ではなく、まるで一生の間たがいに編み込まれていて、ほどけることによって初めてそれぞれが姿を現す糸のように編まれたものだ。ヘブライ語では、わたしたちの命は、自分の物語を語ることによって結び目がほどけるようになるまで、タペストリーのように織り上げられているのである。
デルフィーヌ・オルヴィルール 臼井美子/訳『死者と生きる』(早川書房)
お風呂で読むのでしなしなになっている。たくさんページを折っている。
このひとのやり方に合わせる、を一途にやってきてそれでよかったのではないか、と思った。外側から変わっていって、内側、声のハリとか歩く勢いとか、行動とか、迷う数秒の時間とか、そこにすでに現れている。