日記

とみいえひろこ/日記

2024.09.21

わたしの良いところは自分と全然違う人を好きだと感じるところだと、帰りに自転車を漕ぎながら思ってみる。

itohen、とても久しぶりに行った。羽良多平吉さんのお話を聞きに。そのほか、昼も久しぶりに前半だけ顔を出せた。自分のことではないことで通っているのにも関わらず、昔の、ともかくやりすごしつじつまを合わせた自分の時間をもう間に合わないながら苦く味わい直しに行く、少しの時間をとって。その積み重ね。

 

創意工夫して暮らしていこうと思う。

たとえばある色をここで使うのには強靭な意志がいり意味がいる。なぜ補色を意識するのか、なぜ別の紙をさしこむのか、それからたぶん、なぜごてごて箔を使うのか。対岸にあるものが混ざる世界を実存させるのが、存、在、を言葉や意味でなくたしかめることができるのが、見えないものを認めることができるのが、デザインの意味だと仮定されているからなのだろう。

この人の感覚を憧れとして頭のどこかに常に置いていた。とにかくもとからセンスの塊の人なんだろうなと思っていたけれど、今日実際に実物を見てすこし考えが変わった。歩いて足や手で集めたコレクションをもとに自ら持っているものを磨いて尖らせていった人なのだと思う。磨くと、もともと凸凹の凹だったところはどんどん欠けていくだろうとも思う。そこには時間をかけず、自分の好きなもの、目に映るものだけを選んできたのかもしれないな、とも思う。そうやって成り立たせてきた、クリエイティブということはそういうこと。

創意工夫して暮らしていこうと、でもどうやってと思う。クリエイティブということは、でも、そういうことだろうと思う。

『二角形』、さらっと読むと自分とぜんぜん違って、内面がハイテンションで、こんなに自分で自分を制作に開き、費やし、つなげられたら、自分だけで楽しそう。しかし、しんしんと孤独なことなのではないかと感じながら帰った。

 

イ・ジュへ 牧野美加/訳『その猫の名前は長い』、ロザリンド・クラウス 井上康彦/訳『独身者たち』など。