繊細に書き分けられ書き直されて ひろしま ヒロシマ 広島 hiroshima
緑濃き園のめぐりをひしひしと窪みになってそこで掃くひと
八月のなかごろ、桃を食べているときにぜんぶがだめになって
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爆心地、女工ばかりの被服支廠、内部の写真、その子、その子を産んだひと、
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何年か前のわたしが三月のくもり日花束買いし駅にて
ガラス戸の傍の椅子に腰かけていた 青い花束をテーブルにのせ
このままでも逢えないままでもいいような そうしておもいの池をぬくめて
それは何 どういうつもりでここにあるの花がこんなにいたむのに夜に
金色の葉よりも冷えて髪留めが冬陽にとおくひとの音をきく
忘れたら困る困ると両腕をうしろにがっしり掴まれたまま
三叉路にいつも掃く人ひっつめた髪で屈んでものを見定め
徹さんとむかし渡った橋の画像 片ほうのあれのない徹さん
「かばん」2021年5月号