川にあひ川のことばは愛するは去りゆくべしとみづのいざなふ
ことばに実体はない。結びつけようとし、ぶつけ、叩き、響かせ、もうだめ、とため息をつく頃、ひとつひとつ、そのときどきに鳴る幻がことば。
ふらりとわたしは現れ出て川にあう。川には川のことばがある。ことばが流れる。川には川のことば。川のことばは川のものではなく、愛するということを、愛するということは、と言う。ずっと言っていた。ずっと言っていた、と思う。水が押し出し、苦しめ、吐き出させ、あふれさせようとするそれを、言っていた。
と思えば、それはただ川を川として眺めているわたしのひとことだった、意味だった。水が内から川をあふれさせ、ことばの外皮を剥がしてゆく指が生まれ、指は水に辿り着けないで燃える。火のことばが胸の上。