日記

とみいえひろこ/日記

2021.08.23

少しずつでも時間をとれたらいい、窓の外で誰かが電話している。ビルの隙間にのぞくやわらかい大きな灰色の空。雲がはやい、橋の傍の窓。窓のこちらで顔を下げ、顔を上げたらさっきまでの灰色を撫でるように水色のもやもやした空気が動いている。水色が空を染めていく。短い時間に水色は色を濃くし、研ぎ澄まされて青色、細く鋭い藍色、もう黒に近い。灰色はたましいを抜き取られて消された。