伸び縮みするほうの時間をもらう夜をこめて降る雨に似ている
はじっこにあるものいつも愛されて風がしきりに吹く、いやな風
どんな、ああ 別れ方するんだろうかおしまいの時間が少しずれて
それから、階段を下り顔を見るだけでよかったのに しなかった
ボウタイのめくれるときにまもろうとしてきただろう約束も揺れ
何もかも大丈夫とでも言うようにアニメーションの葉だけ揺れるよ
太陽を見るオレンジの爪の子の抱えきれないかなしみ ぱちん
さっきまでほそく聞こえていたようでさよならの風とぎれて気づく
(「かばん」2022年9月号)