日記

とみいえひろこ/日記

2022.10.22

第一ホテル、というので単体で街のなかにある建物だと思い込んでいた。第一ホテル13階のレストラン。スマートフォンの地図で見たとおりなら、かなり近い場所にいるはずなのに、そんなホテルはない。信号を渡り、歩道橋を渡り、大きな駅にまた戻る。エスカレーターは人がいっぱいで、多くの人が残業して帰るのがこのくらいの時間なのだと思う、隣の長い階段を急いで上る。歩道橋の東側へ下りてみる。地図を見たら目的地からまた遠くなった。それでもう一度信号を渡りつぎ駅のほうへ戻り、長い階段を急いで上る。ヘッドホンをしているからすっぽり自分が閉じられていて、好き勝手にものを思う。遅れますとLINEを送り、返ってきたLINEに返信をする。手元の短いやりとりが苦痛、その場しのぎでもこういうのを積み重ねることの大事さはあるんだと思う、私にはとても荷が重いと思う、積み重なるという話までとても辿り着けないと思う。約束などしなければよかったとも思う。人がたくさんで、きらきらした夜で、約束が終わり帰ったらまた元に戻る。今だけ時間から切り離されて浮かんでいるようで、どこか知らないいっときの場所にいる、この感じだけは、でも、とても好きだと思う。切り離され、ひとりで大きな音で音楽を聴きながら。