日記

とみいえひろこ/日記

2021.12.18

「紙の月」(監督・吉田大八)。あれは、反対側まで逃げ、誰かに会いに行ったのだ。自分に、もう自分でなくなったものに。もういないものに。そうすべきだと思うからそうしたい、と思ったことを、行けるところまで手を染めて、今のわたしが、したよ。

会いにきたあなたを、場所そのものになったわたしは迎える。場所になったわたしはあなたをゆるさない。拒まないし、裁かない。優しくもしない。自分をみじめと思うのも、幸せや慰めを求めるのも、もう遠くへ行って自由になったあなただよ。あなたもやがて場所になる。未来のあなたが、過去のあなたが、ときどきかえってくる場所になるかもしれないし、忘れられて二度とかえってこない場所になるかもしれない。

わたしがわたしでなくなり、時から外れ、人の来ないところに投げ出され、わたしは場所になる。時から外れてなお時が経ち、思いもよらない姿になり、あなたが死ぬときに一緒に死んでいく。