たくさんの罪悪感を煮つめた。黒い大鍋を久しぶりに使って。というか、キッチンでものを切って火をつけるという作業自体が何年かぶりになる。
写す素材として選んできたものたちなので、量もあるし、すこし高めのものもあった。いじめて、写したあと捨てたものもある。すこしだけ食べたものも。
砂糖を入れすぎて甘くなってしまった。冷蔵庫で冷やすとつやつやにかたまった。赤黒く甘い、さまざまな種類の罪悪感。煮詰められてもう何の意味もなさない。どうせわたしだけが食べることになるから、来年ももしかしたらこれをひとりで食べることになるのかもしれない。
作業というのは連鎖しているものだとほんとうに実感できた。煮詰めているあいだに体が動き、洗濯をし、床を拭き、トイレ掃除をした。黒い大鍋を洗ってカレーをたくさんつくった。タッパーウェアに容れたカレーがなくなったら蟹鍋の素というのをつかった鍋にしようと思う。蟹鍋の素は、カレーの材料を買いに行ったときにスーパーに目立つように並べられていたもの。
できるだけ近づきすぎないこと。決して凝らずに、市販のもの、あとは○○するだけに近い状態のことをやることを選ぶこと。洗いものを夜までためること。