日記

とみいえひろこ/日記

枯葉など

枯葉などを軽い容器につめて、かさかさ言わせて島へゆく。花は老いると赤く小さくしぼみ、かたまりに見えていたものがちりぢり、ばらばらになる。老いるときは一気に、それまでぼんやりとみてきた時間を抱え込み取り戻し、身を捨てて見つめようとするように。もう一緒に、ひとかたまりにいるのは嫌。赤い火事の色が川の面にうつり、川が赤く染まる。対岸に人の声。

枯葉を食べようとするけれど、つかむなり手からこぼれ落ちる、その枯葉を踏んでしまう。がさがさ音がする、その音が背中のほうから来るようで。食べる、と思う時点でおなかに入っているようなので、実際はそんなに口に入らなくてもいい。食べるというのはそういうこと。

いつか飽きたら、季節が厳しくなったら、ほかの島へ行ったりして、こんなふうにも生きていける、というようなことを話す。こんなふうにずっと気候がよくて、おなかがへらずに、眠たくもならずに、自分のことを言葉で伝えることもなく、段取りを踏むこともなく、夢のようにも生きていける、そういう嘘をたくさん見つけるために毎晩散歩に出歩く。