焚き火の音に聞こえるけれどこれは犬がベランダで何かを噛んで遊んでいる音だ、と思っていたら、雨の音だった。
ひとつ進むとその位置からもうひとつ問題が見える。見えたときしまったと思うことも多い。これでよかったのかわからない、と思う。これでいいのかほんとうのところはわからない、と思いながら進んでも、ひとつずつしか問題がうまく見えない。これでよかったということはない、ほんとうの問題はこれからだ、いつも。
居合わせてしまったから、じゃあ、もういいよ、ここにしばらくいればいいよ、あげるよ、助けるよ。そのようにして助けられたことが何度かあった。本来出会うことはなかったし、性格もスタンスも合わないし、あなたみたいな子は好きでもない、見ているといらいらする。こちらが歩み寄っても友達にもなれない。世話になるだけなって、おまえだけ変わらない、何もわかっていない、はやく出ていけばいい。助けてくれたひとは不思議に皆おなじ名前だった。