日記

とみいえひろこ/日記

2022.07.29

もうそれは終わってしまって

ふいに、暗い階段をもうすぐ下りきる、というときに思い出した人がいた。今頃しんでいるのかもしれない、と思いつく。

自分の身体のことをよその人に明らかにすることはとても、秘密に関わることなんだなという思いがつよくなった。簡単にたとえば子どもに自分の秘密を話させてはいけない。採血の検査結果がずらっと数値になって出てきたのをもう一度眺める。心当たりのあることがあって、

その心当たりは医学的にはまったく見当違いなことかもしれないけれど、今になって今の自分がそれに胸を押されるように答えが返ってきたこと、このこと自体は信用したらいいと思う。やっと返ってきた、もしかしたら、これがずっと昔自分が聞きたがっていた答えなんだという感じがする。これくらいの大さの声の、これくらい時間のかかる応答だったんだ。身体だけは、自分とずっといつも、一緒にいたんだな、と思う。何度も何度も、何千回も、返事が返ってこないから、返ってこないのなら返ってこないということを早く確かめたがっていた、それだけのことだと思う。そういう、何にもならなさと、わたしは今胸を押されているこの感じのように、こういうふうに、向かい・対い合えればよかったのだろうな、と思う。