日記

とみいえひろこ/日記

2023.10.10

スライドをつくる。なんかパキッと当たり前のことを言っているだけになる。机上の空論になる。

暑すぎた夏を越えて風が来て秋になって、犬の散歩のスタイルが突然(わたしにとっては突然)変わる。何かに反応してなのか、外に出て、すぐに止まる。しゃがんで撫でて、わずかにわたしが立つと駆け出す。また止まる。しゃがんで撫でる。夏の間、いっしょに寝なかった。秋になってもここに来ない。犬なら、犬のスタイルに合わせるのがいちばんいいと、ほかのいくつかのことを複雑に混ぜ合わせずに判断できる。

 

「Coda コーダ あいのうた」シアン・ヘダー/監督・脚本。自分のなかに、自分たちの関係性のなかにある理知的なはたらきを探り、練り上げていき、「愛」によって選択をすること。が、テーマの映画だと思った。ひらがなの「あいのうた」がいやらしいと思った。たぶん、社会に引っかかりながらとらわれている自分がとらわれている自分の「感情としての愛」を深く掘っていこうとしても何にもならない。うまくいかない。どうやったら「働きとしての、力としての愛」を自分の内なる可能性を通じて見出し、つくりだし使っていけるか、という意味の「愛の歌」なのでは、と、数日経て思う。

「愛」は、たぶん、それぞれが意味を見つけていき、生きるために使うものとして描かれている。

なぜブラックミュージックが理知的でありながらこんなにそれを聴くわたしを根底から揺さぶるのか、つくりかたが、「愛」という言葉に込めるもの(受け取りながら込めるもの)が違うからだ、と思った。

かたちになったらパキッとしすぎて、よかったんだけど、とも思う。些末な気にかかることが心に残ることのほうが大事。