日記

とみいえひろこ/日記

2023.12.07

『兵役拒否の問い 韓国における反戦平和運動の経験と思索』イ・ヨンソク 森田和樹/訳。区役所の待ち時間に。あっけない感じというか、分かる、このことよく知っている。少し高学歴で少しお金に余裕がある状況にいるからこそ抱えるもの、抱えられるもの、見える迷いがあるということ。その状況にいて、その上で、何かしら出会いがあると、自分が「拒否」できると思いつくということ。通過儀礼性?がさまざまな主義と結びついて何かになる、その何かにとらわれておくのがひとまず生きやすい構図があるということ。二分法を迫られると感じる時点で絡め取られている「主義」の力があるということ。監獄を出た「後」の生きやすさ、生き難さがあり(そこに、もともと彼がおかれていた状況の力が大きく働く)、体が監獄から出る時と心が監獄から出る時があるということ。代替服務導入「後」により手が届きづらくなったもの。分断させるという技に引っかかりすぎなのではという事態。何を変えないために目に見えるものを変えたのか、なんにも変わっていない、届かない、と思わせるもの、書かれているはずのもの。ぜんぶ同じこと。よく知っていると思う。

いつも、韓国の本を読むと「良心」のことが書かれているのが印象に残る。

良心は揺るぎなき確固たる信念ではなく、みずからに恥じないようにするために、たえず自分を省みる鏡に近い。

非暴力直接行動が求めているのは、交渉を絶えず拒否してきた共同体が提起されている問題に直面せざるをえないような危機を作り出し、緊張を生み出すこと(マーティン・ルーサー・キング「バーミングハムの獄中からの手紙」)

 

熊谷晋一郎 大澤真幸 上野千鶴子 鷲田清一 『ひとりで苦しまないための「痛みの哲学』、井出正和『科学から理解する自閉スペクトラム症の感覚世界』、坂川英治『本の顔』、鈴木成一『装丁を語る。』、星野太『食客論』など。『狂気な倫理』、読めてよかった。さんざん迷って、もういいと思う、ここに出てくるベラに会えてよかったと思う、古川裕子に会えてよかったと思う。