日記

とみいえひろこ/日記

2023.12.08

『本当に遠い所』パク・クニョン/監督

すべては分からなくても理解できることもある

羊飼いの農場主の父親が、ジヌに言った言葉。相手にとって説明が必要な局面にあって、自分のことを説明した言葉。だと思う。

遠いことで救われることがある。王将の店員さんなどに。きのうはあの冗談とまではいかない感じの言葉にどうしてかすごく救われた。ああいう、ふわっとどことも関係ないようなバランスを保っていられたら、誰にでも優しくいられたらいいなと思い返したりした。

 

いくつか付箋をつけた本があって、同時に、ここがわたしは絶対にのれないんだろうなというところもあった。そこが知りたくて時間をここに費やしているんじゃないんだ、と思ってしまう。相手のせいにしてしまう。共通の何かを提示し、相手を操作することが選択肢にあるのは嫌だ、と思う。ここで冷める。それが選択肢にあるレベルのところでそれと関わっているのでは私はないから、ここで大きくずれる。私の関わり方がそうなのは、立場や状況の違いや根本的な目的、余裕があるかないかの違いというだけなんだろうと思う。自分の思う関わり方と、そちらのカルチャーのなかで積み上がってきた正解の周辺と、私が身体になって行き来し折り合いをつけることを経験しつづけることが大事なんだと思う。

 

池田晶子『事象そのものへ!』、スーザン・ソンタグ デイヴィッド・リーフ/編 木幡和枝/訳『こころは体につられて 下』など。事実、事実、事実、存在。見えないものがあると言葉で踏みしめていく感じに否応なく心が動くし動揺する。池田晶子の本を読んだことが今までなく、もっと早くに読んでおけばよかった。