日記

とみいえひろこ/日記

2022.01.26

「空白」(監督・𠮷田恵輔)。最後まで残ってしまったのが彼なら、そういえば、ぐちゃぐちゃの顔を見たのは彼だけだった。最後まで残るべきは彼だった。顔を見たい、とお願いし、すっかり遠くへ行ってしまった顔を、もう遅すぎたとしても、もう遅すぎたということを心に刻むためだけだったとしても、自分のために見ることを選んだ。

顔は行ってしまった。もう遅すぎた。終わってしまった顔が見ていたものを、見たいと望みはじめたところから、見えるものが変わっていった。折り合いがつかない、というのは、それを今、逃れられない今この場所から見ているから。自分のために、だとしても、せめて。