日記

とみいえひろこ/日記

2022.03.28

これは、それは、もとは私のだ、とこちらは思っていて、相手もそれは私のだ、と思っている。私のだからやってきた。それを渡している、私の責任で。それで互いにすり減って、今いる位置を見直そうと思ったときには何も噛み合うところがなく、それぞれがすこしでも楽なところに身体をねじこんで生き延びようとし、バラバラに動くようになる。目的や意味があると感じていたものは崩壊して、すり減っていくものは持ち主を失い時間のなかに抱きとめられていく。身体は残り、私は空っぽになり、透きとおった目は時間のなかを覗き込む。そこにはすり減って消えてしまったもの、もとは間違いなく私のだったもの、目的や意味が違っていたためになにか得体の知れない名付けようのない、ただの間違ったものであったものも混じっている。