日記

とみいえひろこ/日記

2023.05.11

下山真衣『知的障害のある人への心理支援 思春期・青年期におけるメンタルヘルス』(学苑社)


学ぶところがすごく多かった本。
というか、自分がなんとなく考えてきたこと、よかれと思ってやってきたこと、なんとなく信用してきたこと、が全部間違っていたのではないか、見るところが間違っていたのではないか、遅かったのではないか、と落ち込んだ。
言葉にならないこと、内側で統合できずにそのまま溢れ出しそうであること、表現することが難しいことから来る困りごと独特の、かたちがある、押さえどころがある。ただ、こうやって文章で書いた途端にそうじゃない、違う、と思う。
ひとりひとりがもつ独特の困りごとのもとになっているところを的確に見つけて、的確に対応することが当たり前だけどとても大事なことで、そう出来ないことはほんとに迷惑でしかなく、よけいに掻き回すだけなことが多い、とほんとに思う。

 

プリセラピーについて書かれていたことも、心に残った。

クライエントの言動、表情、場の状況などを、「反射」する(ことばにして伝え返す/なぞる)ことで、クライエントとの心理的接触を試みます。そして、このカウンセラーの反射(技法)によって、クライエントの心理的機能が賦活され、クライエントが少しずつ自己、他者、世界と接触をし、それを表現していくことが期待されています。

 

いわゆるオウム返しによって、本人の「ことばがまとまってきて、声も大きくなって」くる場面が書かれていた。言葉にしにくい子にとって、その子全体を聞く側の聞/聴き方がいかに大事か、いかにそれが本人の状況を左右するかということが、身に沁みる。

自分のためにやるのがいいことと、自分のためにやったら駄目なことがあって、相手を聞くことを自分のためにやったらほんとに駄目だなと思った。