日記

とみいえひろこ/日記

2023.04.03

不注意が多くて嫌になる。もう私は駄目なのでは。と思う。

ほんとうに久しぶりにひとりの平穏な時間があった。これからも時間がある気がして、U-NEXTに入り直してしまった。

 

「僕が飛びはねる理由」(U-NEXT 2020・イギリス・ドキュメンタリー映画

 

・ひとりの小さな子がとても孤独で危ない森のなかを歩きつづける。さまざまな国で取材されコラージュされた自閉症の子たちの困難、切り抜け方、様式は、この子の内面世界ともいえる。すべてが外の世界であって、危なすぎる森のなかで先が見えないまま逃げつづけなければいけない足元だけでつながっているともいえる。


・原作を読み込んだ翻訳者(当然、翻訳者は翻訳者の背景や理由、経験を持つ。翻訳のなかで原作者の言葉は混ぜ合わされ、前より少し安全に開かれる。そこが森になる)を経て、さらに映像に変化させる作業がある。そこが森になる。

さまざまな方向からそれぞれの思いや経験をもって、複雑に、かつ重要な芯のところをつよい力で抽出しようとしている作品だと思った。


・その子が抱える独特の時間感覚や、外の世界の感覚の荒々しさが耳や目といった感覚器官にダイレクトに乱暴に刺さってくる怖さ。原作者の文章が的確に読み取られて丁寧に伝えられていたと思う。見えないところにたくさんの、「あなたのいる世界の見え方で見えて、あなたの理解のしかたで分かるように」という配慮をしのばせて。

 

・心に残った言葉(セリフに忠実じゃなく、うろおぼえ)
「定型の人の記憶は線のようにつながっているイメージ。自閉症の僕の記憶はすべてが点で、直截的で、いつどこで鮮明にその記憶に襲われるかわからない」
「ほかの人にとっては大したことなくても、一度した失敗というのは度々大きな津波のように押し寄せる。失敗という経験の後に深い傷跡だけが残る」

 

この作者の本はたくさん出ているので、読み直したいなと思った。