日記

とみいえひろこ/日記

2023.07.03

そうめんを食べた。

送風機、犬にとってはこの距離でも役に立つのかな、と、部屋の外で寝ている犬の様子をうかがう。寝る部屋の窓際に送風機を固定している。この部屋でたまにおしっこをするので、戸を閉めておきたいけど開けておいたほうが涼しいなら開けておいたほうがいいのか。

夜の散歩で公園で、犬とわたししかいない時間が少しあって、不思議な感じだった。

休息の取り方が少しずつ少しずつ、時間をかけて上手になってきたと思う。そのひとのそばで休む時間がある。本を持っていったり漫画を読んだりする。バランスボールで何もせず天井を見上げたりする。休息の取り方が上手になっていくと、結局、適切な力の使い方ができるようになって、長持ちするはず。そわそわしてこういうことを何も建設的に考えてこられなかった。

ただ、今までは「時間をかける」ということが選択肢になかったから、とも思う。

そういうことはとても多くて、選択肢になくても可能性として頭にそのままおいておくことは大事、その上で選択肢がないと認めるひと呼吸が大事だった。そうじゃないと頭のなかでややこしい操作をしてすごく遠回りになるから、無駄にほんとに疲れるから。ただ、そうすることでまもって持ち堪えたものはあった。

 

情景描写は性的な体験と同じで、人を別世界へ連れていってくれるものだ。

アン ウォームズリー 向井和美/訳『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』(紀伊國屋書店

 

中国の「賦」という様式があると知って、そこでひかれていた、ただ木の様子が書かれた文章にひかれて。

 

わたしには習性となった、きみが谷間で大きな声で呼ぶ

それから二つの名前が順にこだまするのにじっと聞き入る

 

詩のはじめに火がつけられて、「どこ」という問いがあって、その気分を引きずりながら何かの情景が誰かの口から書かれていて、不思議に何度も読んでしまう。きみはどこに、いるんだろう。「習性」と翻訳された言葉が妙で心に残っていた。習性、離れられない逃れられない習性。

「習性」北島(『現代中国詩集』から)