いろいろ間に合って、それはいろいろ諦めたからで、ただ、ほんとはもっとつめこまないと無理でもあって、こういう時間がふっとあるときに具体的に迷う。
全員寝ていて夜、なんとか間に合ったことがあり、ヘッドホンで曲を聴きながらヤンニョムチキンをつくっている時間があった。これで終わりでいい、と思うときがある。今日からすごく寒く足が冷たく、この空間だけが切り離されて浮かんでいるみたいで、不思議な感じで、幸せだった。
私はそうは思わなくて、たぶん違うと思う、ということは小さくたくさんあって、全部を擦り合わせないでいい、など。
高森明(こうもり)『アスペルガー当事者が語る特別支援教育 スロー・ランナーのすすめ』
DはDisability、Disorder、Difficulty…なんでも。
スロー・ランナー=SRという言葉は、ヴィトゲンシュタインの言葉から来ている。「体験としての障害」「探索活動」「Learning Differrences=学び方が違う」。私とそれの関係、私とそれとそれの関係、そういう独特の、唯一の私が経験を通して検討して出てきた呼び名で呼んでみながら、それを眺めてみる、実体のないそれのまわりを歩いてみる、関わってみる、ノックしてみる。暗闇で光る目のありかたのようにユニークで、所与の方法ではぜんぜん立てていないのに何よりも地に足が着いている感じがして、読んでよかったと思う。
川本直『「男の娘」たち」』、大野ロベルト『紀貫之』、『双極性障害の家族焦点化療法』干刈あがた『黄色い髪』、山本智子『発達障害がある人のナラティヴを聴く』など。