日記

とみいえひろこ/日記

2024.03.08

そんな時、怒りを爆発させた長男はストライキを始めた。家族は、長男の怒りでようやく分った。障がい者の長男が一家にとってどんなに大切な存在であったのかを。長男がいなければ自分たちの人生もない、ということに家族はようやく気づいたのだった。

普玄 倉持リツコ/訳『痛むだろう、指が』(勉誠出版

 

売ってしまった本だと思っていたけれど、別のさがしものをしているときに見つけた。ここにだけ付箋を張っていた。いつも折ってしまうので付箋も珍しいし、まっすぐピッと張っているのももっと珍しい。

 

時間があるわけでもないけれど、久しぶりに野菜を刻んでにゅうめんみたいなものをつくって食べながら、『クリエイティブであれ』(アンジェラ・マクロビー 田中東子/監訳)を読みはじた。麺が食べたくなったのは、『生きる歓び』の「にしん」という短編を読んだから。区役所から電話がかかってきて、私かどうかの確認があった。電話を切ってから、あまりよくわからないまま私ですと答えたのが気になったものの、最近出した書類は全部私のものだからそれでたぶん間違っていない。それでたぶん大丈夫。

分業、分業、分業、全部、私が求めていることになっているのはたぶん、私が責任を持ってうまく分業に切り分けてお願いすること。うまくできればそれはいいと思う。それはそれで。ただ、前提として、そんなことはできれば自分でやりたい。遠回りする意味はあるというのも分かる。ただ、よけい疲れる面もある。全部分業だ、と春菊を切りながら、よく分かった。

一方で、私がほんとうに求めていながら迷い考えつづける時間とひとりの場所がとれずにいるのが、分業するのがそもそもいいことなのかとか、分や業そのもののこと。参加するのかどうかとか、どう在るのかとか、見ることひとつひとつだということ。奪うとか盗るとか、個々の妥協の線のこと。乱したくないこと。分業できると分かっていることについて悩んだりしているわけでは、全然ない。

 

高秉權 今津有梨/訳『哲学者と下女 日々を生きていくマイノリティの哲学』、ナタリー・Z・デーヴィス『境界を生きた女たち』。

なだいなだ・吉岡隆『アルコール依存症は治らない《治らない》の意味』この反感の感じは何だと思いながら、さーっと読んだ。