日記

とみいえひろこ/日記

2021.01.07

このことを書くとあのひとは怒るのだろうな。これ以上目を合わせていると噛まれるのだろうな。奇跡的にぎりぎりつなぎ止められている信用を失い、二度と関係を築けなくなるのだろうな。

眠くて眠くてたまらない。しばらく前からわたしのカレンダーは起床時間と就寝時間をつけるカレンダーになった。自分のなかでそれぞれにそのときどきのカレンダーの目的が決まっていき、これくらい好きにさせてほしいと思ってつけている。

このひとのような生き方もいいなと、心から思う。扉のうちは何も起こらず、わたし以外みんな時を止めている。動いているわたしが何か大きな間違いを背負っている。良いことだと、好きだと思わされてきたことはとても多く、それらからいたしかたなく遠ざかってみると、細いたよりない、しずくをつけた一本の糸。それだけは壊さないように、ものしずかに穏やかに階段を上り下りする、立ったまま食べる。眠る時間を守りたい。

今日は目を覚ますたびに窓の外が明るくほの青くなっていくのが見え、そのたびにいいやと思い眠り直した。長く眠ってしまい、どんどん眠るのが好きになっていく。眠るために生きていきたいと思う。曲線のイメージを長く頭に巡らせていて酔いそう。

朝と夜以外はやはり腰を落ち着けた作業や試行錯誤ができないということを何度も忘れる。シンプルなことで近くまでいっているのに、どこかが長く逸れてしまっていてとても難しい。時間をとるのがまず難しい。

数日、数週間、調べものをしていて、アールヌーヴォーの美しさや生々しさに引き込まれてしまう。昔はふーんと思っていただけなのに、今自分が見知ったり慣れていたりするはたらきとは別の方向から、別の力のはたらきが湧いてくるようで、魔法みたいに感じてしまう。雑多なものをすべて抱え込むための曲線、土くささ、何も失敗はないとみずからが鏡になり何もかもを表に引き摺り出そうとするような無邪気さ、野蛮さ、明るさ。真似しようとして失敗を繰り返している。繰り返す時間もない。

白い蛇がみずからの膚に刻んだ傷、が息をほそくつづけている。息をのむ。