日記

とみいえひろこ/日記

やさしすぎるひと

やさしすぎるひとというのがいる。やさしすぎるひとというのはほんとうに必ずいるのだと思う。どの局面にも、どの場所にも。今まで何度、何人のやさしすぎるひとに出会っただろう。案外多くいるのではないかと思うようになった。

やさしすぎるひとはいつも、どこかわからないところからふと現れる。そしていつも、タイミングがうまく働かないのか何なのか、何かがやさしすぎるひとの身辺に起こって、いなくなってしまう。やさしすぎるひとは、現れたと思うとすぐに消えてしまう。必ず。これからというときに(これからというときに、というのは、わたしがこれからと思ったときにということ。でも、何が、誰の、これから?)、やさしすぎるひとは必ずわたしのまわりから姿を消してしまう。

最近は、そのひとのなかに流れる時間が、わたしの感じているそれとぜんぜん別ものなのではないかと思うようになった。やさしすぎるひとは(わたしにとっての)消えた場所で生き延びる。