日記

とみいえひろこ/日記

2021.08.09

ひとつ終わるとひとつ始まる。またひとつ後回しになって、同じことをやっているだけだと思う。終わったと思ったことが別の仕方であらわれるだけ。それをならしていく役割がはたして必要なのか、それはわたしなのかどうか。わたしでなくてもいいし、この役割はいなくてもいいのではないの? そう疑いながら固い土を均そうとする。自分のいるところを何度も踏みつけるから、ここだけがやわらかくあたたかい。自分が遊び足りなかった分を今になって自分でトラブルを生んで取り戻そうとしているだけではないの?

そうではないと頬を叩かれる。あなたがうまく終わらせられないでいるあいだにこちらは格闘していたし、とっくに始まっていましたよ。あなたが思う始まり方とは別の始まり方で始まっているし、あなたと違う闘い方をしていると言う。今さらここにあなたが来ても、見えているものもやり方も違うから無駄で邪魔だ。

きりがないから、と言いながらわたしが飽きてひとつ終わったということにしたときに、目の前にひとつ隙間が出来る。その分、とっくに始まっていたことが見えるだけだと知る。そして、わたしはたぶん、そのことも知っている。

このこと自体を終わらせなければとは思う。なじみの思い方で。何千回もわたしのなかで後回しにしてきたことだけが始まっておらず、もしかしたら別の始まり方で始まっており、別の思い方で思っていて、別の闘いのさなかにいる、別のわたしがいる。