人に
秘密がないとうことは、財産を持たないかのように貧しく、うつろなことだ。
李箱『失花』
失敗しているのかこれで合っているのかいつも考える。やっと質の良いいやりかたを見つけても、自分がそれをできる力がないことのほうが多いし、さまざまな、細かい条件の組み合わせで、そのとき一回きりの、その場だけの正解、かもしれないからやってみるべきことがある。
陳腐すぎる、辻褄が合いすぎる、気持ちよくおさまりすぎる。そういう感じがあるときは、必ずほんとにつまらない失敗をしているということ、と思う。前よりどうなっているのか見ている。考えてはいけないこと(誰に、何にとって?)を淡々と考えられるやりかたがあればいいとほんとうに思う。すごく遠回りしているし靄がかかっているようで、簡単なことなのにほんとうにばかみたいだと思う。
自分が試していたのだろう、もっと守ればよかったとも。もういい、という感じしか残っていないし取り返しがつかないけれど、違う関わり方を、つくっていくだけ、ということ。でも、これでも前よりだいぶいい。ということは、どういうこと。