日記

とみいえひろこ/日記

2024.01.25

さらば愛しき大地柳町光男/監督。ほんとうに切ないいい映画だった。前半流し見してしまったからつながりもわからなくて、もう一回流し見。砂浜で静かに背をまるめて蟹を食べるシーンとか、心に残ってしまう。どんどんものがなくなっていく描き方も追い詰められ方も、考えて考えてこうなってしまう感じも、よくわかるように思う。自尊心と傷つきと、恥とか、こういう言葉で言われるものの生身の感じが最初からよーく描かれていると思う。

沼があって海があって、草原も山も揺れ止まなくて、ずっと何か言っている。ここでどんなことも起こるし、かんたんにこんなところまで行ってしまう。砂と、羽根と、定まらなくてどうにでもなってしまう土、大地。

実際は制度にうまくつながればもっと楽になれる〈はず〉で、ただ、理想通りに楽になったとしても、それぞれの本人の心のなかに残るのはこういう風景なんじゃないかと思う。

 

大江健三郎『美しいアナベル・リイ』、小松原織香『性暴力と修復的司法』など、少し。