日記

とみいえひろこ/日記

2024.04.05

返事を待ちながら。気がかりの件を考えようとしながら。返事がきて、なんとか返したものの、ぐずぐず気になりながら。

 

『サントメール ある被告』アリス・ディオップ/監督。データコピーしながら、しゃがんだまま全部見通してしまった。観終えたのが2時。

 

・もう1回観たほうがいい。すべての映画について、そう。でも、もう1回観る時間をとらないだろう。もう1回観たら、きっと、ぜんぜん違うものを私は見て思うだろう。

ただ、でも、同時に、見る、ということはいつも一回きりしかできない。そのときによく見るしかない。

 

・ロランスはウィトゲンシュタインを学びたかった。と、願うときすでに、彼女が学ぶべきものが言語以前の状態で彼女のうちがわにあり、彼女は彼女の道を通って学びたかったこと/学ぶべきことに会った/会う。

観て、何かを知った者、私、は、観て知ったものに出会いにいかなければならない。ウィトゲンシュタインと聞いたとき誰もがそのフレーズだけは知っているあの言葉とも。読んではいないよね、何も知っていないよね、でもそういうことにしてやっていかなければならないことに乗っかっているところにいるということとはすでに出会っているよね、ということなども指し示してくる。複雑に、こちらを指差す言葉が、無言という言葉で重なってくる。観終わった今も。

 

・拒否反応を示す人は、最後のキメラの話を「母性の話」というひとくくりの言葉で理解した上で、そうしているように、見える。

 

・呪術の話のあたりだと思う、私自身の、恥ずべき、愚かな、早とちり、傷つけ、に出会った。出会っていた、とあとから遅れて気づく。ものごとに出会うときはいつも、無言、言葉がない。それを指す言葉がなく、自分で遅れてつくっていく必要が絶対にある。

 

・顔が語る感じ、ざわめきの感じがとてもよかった。

 

 

マリー ンディアイ 小野正嗣/訳『三人の逞しい女』、 G・ガルシア=マルケス 旦敬介/訳『出会いはいつも八月』、立岩真也『弱くある自由へ 自己決定・介護・生死の技術』など。