日記

とみいえひろこ/日記

2023.06.28

「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱/監督)

めちゃくちゃよい映画だった。

・トレーニングノート。

いろんな言い方がある、言葉なら。出力器官(入力器官)が少ないと、その分ひとつの表現が強く、短く、まるごとというか、直截的というか、言葉そのものになる。複雑でなく単純になる。この感じとてもよく知っている、と私は思う。

「受けいれがたく、許せない。」

・だんだん音が消えて、風の音も止んで。最後の数秒だけ、彼女が見ていると私たちが想像する世界のあり方が示される。そこでもしかしたらやっと、エンディングまでずっと私たちにはケイコにとっての「ない」「分からない」音に包まれた世界が見えていたんだった、という実感がたちのぼってくる。「ない」「分からない」ものでできている、圧倒的で暴力的な世界。そして、想像はただ想像にすぎない。

ほんとうのところは何も分からない。「実感」など信用できるんだろうか、と思う。いちばん怪しいものかも、とも思う。

今日もぜんぜん、後半なんとかぎりぎり。