日記

とみいえひろこ/日記

2023.11.19

犬に久しぶりにリードをつけることができた。このまま放っておくかもしれないわたし、がうっすら底にいつもいて、それが危うい。それにとらわれる、そういう一人遊びの感じ、だけだと思う。これで保っているのだと思うし、ここにわたしの自由があるのだとも思う。最近は。

犬はまだまだ周囲を警戒していて、その警戒の仕方も独特なもので、これからどうなるか分からないけれど、こちらがうまく距離をとり、相手のゆるす、理解すべきエリアを理解していけば、これから犬とわたしたちの独特の関係をつくりなおしていけるんだと思う。この一連のことはわたしにはどうしても喩に思えるし、わたしもそのなかに組み込まれているというのが喩の意味だと思う。今一緒にこれを見て関わっているのだということが。これまでの彼の関わり方や見方、抱え方、そばにいるありかたを、はじめから思い出したい。彼自身がのぞんでいるように、犬にしてあげていたのだろうから。違和感、ためらい、とどまる感じ、嫌な感じが、境界線の引き直しを促す。ながい悲鳴のような短編を読み、なくして残るものをごつっと置く行為のような歌を読んだ。

大江健三郎自選短編』、赤崎久美『ちづる- 娘と私の「幸せ」な人生』、三井さよ 鈴木智之/編著『ケアのリアリティ 境界を問いなおす』、「calling」中川龍太郎/監督 など。