日記

とみいえひろこ/日記

2023.12.20

アキ・カウリスマキの映画、1月で配信終了になるものを続けて観ている。音楽が腹の底と響き合い、悲しくし、こめかみを痛め。働くほど、奉仕するほど、生きるほど、その先にある虚しさに足を踏み入れるだけ。踏み入れる、そう方向づけられている自らに気づいていながらそこしかなく、人に愛されず、自分を愛せず。そんな恥ずかしいことできず、許せず。悲惨で虚しい、絵に描いたような哀話のなかに落ち込み、そこここにつまづき、ほんとうにばかみたいだと、追い詰められてそこから出られず。いくらでも失い、いくらでも誤り、底をつくところに私の渇いた実存があるらしく、あってしまうらしく、実存を蹴って歩く。寒い、朝が来ない、長い夜。その夜の下、スクリーンのなかを、蹴って歩く。蹴って歩く。だからブルースが使われている。時間が来たら足先のつめたさに震えて眠り、泣きながらものを食べ。ものを食べるとき私を照り返すように、阻むように、留まらせるように、さまざまに貧しく艶やかな、老いたテーブルはある。テーブルにはいつも、泣き切って皺を得た、ざらざらに乾いて美しいばかりの、どうしてかどんなに最悪なときであってもよそよそしくそこにある、何でもないテーブルクロスがかけられている。蹴って歩く存在をなだめもせず、死なせもせず、何も言わず、わずかに照り返すけれども鏡にはならずに、かけられている。

 

Tease Me Baby (AKA Tease Your Daddy) - YouTube