日記

とみいえひろこ/日記

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022.08.12

風のようにすごい勢いで薄れてゆくけれど、ほんの数日、そこで過ごしたときの自分の心の向きや範囲の感覚を離したくない気持ちが強いのと、体の内部の動く感覚と、ずっと、自分がこうと思っているものと実際とのずれが難しくていろいろわからないのと。 過ご…

2022.08.11

別のを何度か、観ようとして何度も途中でやめてしまっていて、「花様年華」ウォン・カーウァイ/監督。こんな筋だった、ぜんぜん覚えていなかった。 秘密を告げる相手は、誰でもよかった。すべて終わったあとで、誰かがあなたになった。あなたともう会うこと…

2022.08.02

入院前後にきっちり間に合うようにしないといけないことが出来て、そちらのほうがドキドキしている。こうやって、怖いものを分散したりずらしたりする、いつも。そのやりくちも自分で分かってきている、その自分を見ながら別の手を編み出そうとし続けている…

2022.07.30

好きな曲を選んで、家族それぞれの動画をつくった。Adobe Premiere Rush、向いていないことはないのなら、数をこなしていくと自然に上手になるもので、駆け足でざっとやっただけだけど楽しかった。それで、とてもよくわかったと思ったことがある。もっと考え…

2022.07.29

もうそれは終わってしまって ふいに、暗い階段をもうすぐ下りきる、というときに思い出した人がいた。今頃しんでいるのかもしれない、と思いつく。 自分の身体のことをよその人に明らかにすることはとても、秘密に関わることなんだなという思いがつよくなっ…

ここで待っていてください

待つ時間というのはいつもふいに来る 悪趣味な色の床にうつむき 書き足したところつやめく事務室のガラスの奥へ紙差し出せば 案内の男の声が良い声でどういいのかを考えている 気がかりがいくつか混じりあいながらほどけずにシャボン玉の下ゆく 長くなりそう…

2022.07.27

そう、このように 時間をすこしでもとれば、1000倍くらいになって反応がかえってきて、あとは自分で好きなところへ行くのだと思う、そうなると知っている。そうならないことがあるということもすこしだけ知っていると思う。時間をすこしでもとれば それが出…

2022.07.24

苦手なことをつめてここ何日かでやった。もうしばらくつづく。ひとつひとつたぶん、これに自分が自分だけで関わることが、遠回りでももうひとつのことのためにもよく働くのではないかと思う。でもわからない。ひとつひとつとは必ずいつも、ひとつひとつなん…

2022.07.20

入院と手術をすることになった。でも、ほんとうによくできたとても良いタイミングで、こういうおはなしになっていたというような流れになるものなんだなと思う。わたしがこうなるということは周りのいろいろがもう、一段階ほんとに大丈夫になってきていると…

2022.07.18

眠くて眠くてぜんぜん動けず、今日も何もしないでいようか迷ったけれど、5、6倍くらいの時間をかけてでものろのろ作業してみた日。自分のやっていることは作業療法みたいと思った。 きらいなこと、したくないことなら私は分かる、その逆のものにくっついてい…

2022.07.16

「感じるブックジャケット 2011→2021」展(竹尾 淀屋橋見本帖)。 「感じるブックジャケット 2011→2021」展|紙の展覧会|竹尾 TAKEO 雑誌「ブレーン」で10年つづいている企画の立体版。展示されたものを手にとって見ることができた。実物と、簡単なコンセプ…

2022.07.14

疲れが出て若干癖が出てきた。 離れていったクライアントさんのことをときどき思う。フリーになって以降やっと、私はほとんど恋のような仕方で自分の仕事に関わっている。この関わり方はもっと変わっていくけれど、今は、私の手に届く方法としてはこれしかな…

2022.07.13

6(穏やかな声が書き取らせる) もはやここにいないひとりの女が私のそばにいて、静かにこの本を私に書き取らせる。 パスカル・キニャール 小川美登里/訳『いにしえの光』(水声社) キニャールの本が大好きで、新しい本に書かれていた「往古」という言葉を…

2022.07.08

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ジェーン・カンピオン監督。朝観て、その気分をひきずりながら一日。流し見だったけれど、ひきずってだんだん重くなる。ああ、なんかすごいものを見た、見ているんだと、だんだん思う。ピーターの目線だったろうか、観ていると…

2022.07.07

検査の二日目で、おなかがずっと痛い。 精密検査を受けなければいけないことになって、すごく、生まれてはじめてくらいなレベルで気持ちが落ち着いたのだけど、何日か経ったらその感覚も薄れてきてしまった。終わりが見えることで、このくらい強制的な線を引…

2022.07.04

「心のカルテ」マーティ・ノクソン監督。 回復や選択についての、物語についての物語。こういう状況なら、こういう条件が重なったら、それはこうなるよね、そっちを選択しちゃうよね、どんどんはまり込んでいってしまうよね、体を使って、そこにあるかもしれ…

こちらから倚りかかれば受けいれる腕ふわりと蝿が浴槽にくる アジールというほどのものではなくて蝿這うさまを見ている時間 石鹸の嫌というほど白い香によごれて蝿と入浴をせり ふゆ風もはるの光も背をさする腕もここへは入ってこない 夢よりもかるい抱き寄…

2022.07.01

相手の話を聴く態度について。話す側がどういう目的で話しているかを決める権利をもたなくてはだめだと思う。無自覚であっても、目的は話している側にある。聴く側が話されていることの目的を決めてはだめで、だめだと思う。どんどん相手の望むものを差し出…

2022.06.30

押見修造『血の轍』(小学館)。家族で読んでいて、きのうひとりで家にいるときに届いたのを開けて玄関のそばでしゃがんだまま読んだ。11巻まで来た。静一くんどうにか逃げ切ってほしい。1巻から、どうなっていくんだろうとかいうことをなんとなく話してきた…

2022.06.26

これは自分の苦しみじゃない、この苦しみをどこまでいっても自分の苦しみにたどり着けないのに、というか、「のに」ではなく たどり着けない障害物としての、痒かったり恥ずかしかったりここにとてもいられない感じ(これらは盾でもあった)、とにかくこれら…

2022.06.25

こちらから見ると極端にそれが出る。五つくらいの種類に分かれて日常的に出るのではないから、こちらから見ると困る、いきなりそんなことになるから。 ただ、日常的に、種類に分けられるようなことはなく出続けてはいるのだ。未分化な、言葉にならない出方で…

2022.06.23

いやだなーとずるずる延ばしていたけれど、すごく久しぶりに婦人科に行った。夏が来る前に疲れが出てきてしまって、今は顔が痛い。関わりのなかで、こうやってわたしがすこし退く、何かしらまた、力の強さや方向や、見え方が変わるんだ、と思う。 力を抜いて…

2022.06.21

いちにちじゅう雨が降っていて、驚くほどだるい日。肌が空気に触れているところから次々と血が出そう、雨が痒い。痒いという感覚はとてもわたしらしいと思う。考えがいつにもまして分散するのと、ひとつひとつ綿みたい、すぐにつまってゆきばがない。軽すぎ…

2022.06.18

遠く遠くだけれど、つながってしまっている。そのため、自分のほんの少しの「無理」が、その存在を苦しめて立ち上がれない状態にしてしまう、ことはある。見えていると思っていることよりも、実際はもっと多くの、大きなことが動く、積み重なってしまう。自…

2022.06.16

オルナ・ドーナト 鹿田昌美/訳『母親になって後悔してる』(新潮社)。 たとえば私は人と目を合わせるのがほんとは苦手なのではないかとつい最近気づいた。でももうこんなところまで来てしまって、すでに苦手でもなんでもなくなってしまって、ほんとのとこ…

2022.06.14

モノと関わるときのこの人の関わり方がとても真剣で、わたしはそれを見る。正確には、直接見ていない。それを見ていた人が話すのを聞いて、あとで想像する。違う場面を見てその関わりの時間を想像する。その関わり方を見て、思うことがある。わたしは、ここ…

2022.06.11

ディナー・S・ケイロス レナール・ペレス/編 広川和子/訳『ブラジル文学短篇集』 (新世界社)。 二段組の、小さな文字の連なった、秘密めいた古い単行本。回復と創作の関係、それも、なんだか肉体的な関係、をつよく感じてしまう。 創作、といってもほん…

2022.06.06

「私が熟れた季節」を観た。とっても好きで信頼している三宅監督がすすめていたもの。罠みたいな日本語訳のタイトルで、なんだかわたしたちは自覚しているよりずっと多く見た目や名前にほんとうにころっと騙されているんだろうな、すごい滑稽だな、と思う。…

2022.06.04

今さら、という感じだけが、いつか思わず出た声のまま、じんじん、何かわからないままわたしを包んでゆく。犬は大きな音を怖がるので、壁を叩かないでいた。そのままそのときに持った感情を胸に落としてゆくと、今さら、という感じはそのまま生きて時間を得…

2022.06.02

映画「さがす」(監督・脚本/片山慎三)。アマプラで。 助かりたい人と助けたい人がいて、互いの弱いところが過剰にくっつき合ったり食い合おうとすることで、浅はかな、無惨な救済につながってゆく話。「現実」に応じようとして全員で「現実」の餌食になっ…